BAKE FIRST

パン作りに関する疑問やレシピ、お役立ち情報を掲載していきます。初心者も、ステップアップしたい方も必見!

焼成中、生地の中で何が起こっているのか?順を追って確認しよう

 

パンの焼成は、私たちが思っている以上にオーブン庫内・生地内部ともに急激に大きな変化が起こっています。

今回は、焼成中にどのような現象・変化を遂げて香ばしいパンが焼き上がっていくのかを、大きく3つのセクションにわけて解説します。順を追って確認してみましょう!

 

 

焼成開始直後から起こる物理的な現象

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オーブンに生地を入れた直後から、物理的にはこのような現象が順番に起こります。

  1. 生地と庫内の温度差で、生地表面に結露が発生し、薄い水膜ができる。
  2. 生地の水分に溶けていたガスが分離する。
  3. アルコールの蒸発、ガスの膨張、水の蒸発により体積が急激に増加する。

オーブンに入れた生地の表面に、水の膜ができるなんて信じられませんよね。

これらの現象がパンの窯伸びを助けます

原理についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

paopao-bakefirst.hateblo.jp

また、発酵で生地内に生成されたアルコールも、焼成中に蒸発する際に気化熱として生地表面から温度を奪います。

表面にできた結露の気化熱だけでなく、アルコールの気化熱でも生地の温度上昇は抑えられ、表皮の焼き固まり(クラスト形成)を遅らせ窯伸びを助けているのです。

発酵不足の生地って、単純に生地のコシが緩んでいないからじゃなくて、もっと多くの要因が重なって窯伸びも悪くなるんですね。ここまでくると、かなり奥が深いです。

 

焼成中の生地内部の動き

オーブンに入れる前の生地に含まれるでんぷんは、球状をしています。

それが、オーブンに入れて生地の温度があがるにつれ徐々に様々な状態へと変化します。

また、パンの骨格であるグルテンも並行して状態が変化します。

それぞれの中心温度に応じてこのような流れとなっています。

55〜65℃

生地中のでんぷんが水を吸って膨らむ「膨潤」により、でんぷんは外膜がふやけた状態となる。

70℃〜

でんぷんの外膜が破れ、中からアミロースとアミロペクチンが流出することで粘り気が増す。この反応をα化(糊化)といい、全体はゲル化してゼリー状となる。

さらに、グルテンはでんぷんに水分を奪われ続け、74℃近辺から凝固する。

80℃〜

でんぷんに含まれる水分も徐々に蒸発していき、でんぷんの固化が進む

97〜98℃

余分な水分はほとんど蒸発し、でんぷんは完全に固化する。また、この頃にはパンの骨格はグルテンではなくα化したでんぷんが担うようになっている

そして、この段階でパン特有のスポンジ状のクラム(内相、パンの中身)が形成されます。

 

でんぷんについては下記の記事で更に詳しく説明しています。

paopao-bakefirst.hateblo.jp

 

焼き色の形成

生地表面温度が160℃を超えるとメイラード反応が急速に進む。

並行して、糖分の分解や様々な結合が進むカラメル化が起こる。

 

メイラード反応とカラメル化はパンの香りを生み出す大きな要因です。こちらの生地でそれぞれ詳しく解説しています。

paopao-bakefirst.hateblo.jp

 

でんぷんが完全にα化するのに必要な水分量f:id:second_burnout:20210330114648j:plain

実は、でんぷんが完全にα化(糊化)するためには、でんぷんの3倍の水分量が必要とのこと。

なので、パン生地はでんぷんが完全にα化するにはかなり不足していると言えます。

普通のパン生地ならでんぷん量とほとんど同量ですからね。ベーグルなんてめちゃくちゃ不足していますよ。

しっかりとα化するかどうかは、パンの消化の良さに直結します。

そういう意味では、 高加水の配合にしたり、湯種を使ったり、アルカリイオン水を使用することは、とても効果的な手法と言えます。

それぞれ詳しく解説している記事をこちらにご紹介します。

paopao-bakefirst.hateblo.jp

 

 

paopao-bakefirst.hateblo.jp

 

酵母酵素の活性

さらに、上記の物理的な現象や科学的変化に加えて、酵母菌や酵素はこのような動きを見せます。

  • 生地温度60℃に近付くにつれ酵母菌が死滅していく。
  • 60℃までは高温になるほど酵素作用は活発になる。プロテアーゼはたんぱく質であるグルテンを分解し、アミラーゼはでんぷんを糖に分解することで、生地は柔らかくなり窯伸びもしやすくなる

 

まとめ 

パン生地をオーブンに入れた直後から、パン生地内部でも外部でも著しい変化が生じていることには驚きですよね。

この原理を知っておくことで、すぐに劇的においしいパンが焼けるようになるわけではありませんが、頭の片隅に入れておくことで焼成に対する理解が深まり、ふとしたときにこの知識が役に立つ時がくるでしょう。

パン作りの原理をたくさん知っておくと、あるとき一つ一つの知識という点が先で繋がって、急に理解が深まることがあります。

このブログを読み続けてくださっているあなたには、既に色々な知識が身に付いています。なので、いずれそのタイミングが必ず来るはずです。

そのためにも、今後もコンテンツを充実させていきますので今後ともよろしくお願いいたします。

 

以上、焼成中、生地の中で何が起こっているのか?の解説でした!

 

 

byなおちゃん

 

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