クープが開かない?家庭用オーブンでもクープを開きやすくする工夫を解説!

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こんにちは!製パン科学研究家の"BAKE FIRST"です(・ω・)ノシ

お家でフランスパンなどを焼く際に、

クープが開かない…」なんてお困りありませんか?

家庭用オーブンは業務用オーブンと構造が異なるため、どうしてもクープは開きにくくなってしまいます。

ですが考え方と工夫次第で家庭用オーブンでもクープが開きやすくすることは可能です。

ここではクープが開く原理を解説し、その原理を家庭用オーブンで再現する方法をご紹介します!

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クープが開く原理

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生地が窯に入れられた直後、表皮から内側へと徐々に熱が伝わっていきます。

表皮は一番最初にダイレクトに熱を受けるので、先に焼き固められていきます。そして生地の中心部まで熱が伝わるには時間差があります

生地の内側に熱が伝わると、生地中の水分や炭酸ガスが膨張するため膨らもうとするのですが、その頃には表皮は熱である程度焼き固められてしまっているため、中の気圧がどんどん高まります

その結果、表皮に弱い部分があると、内側からの膨らむ力はそこに集中します。

結果として、自由に膨らむことができた分だけボリュームが増加し、軽い食感になります。

 

この時、何も切込みを入れていない場合は底面のとじ目や側面のたまたま弱くなっていた部分が裂けて広がります。

ですが、これだとどこが裂けるかわからないので、見た目も食感も不揃いになってしまいます。なのであらかじめ人為的に表皮の一番弱い部分を作っておくことでその原理をコントロールする必要があるのです。それがクープです。

 

家庭のオーブンでクープが開きにくい理由

下火調整ができない

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まず一番大きな理由として挙げられるのが、下火加熱が無いことです。

パン屋さんのオーブンは、デッキオーブンという上火と下火が調整できるもの。庫内天井にはもちろん、庫内の床板(炉床といいます)にもヒーターがついているため両方を違う温度に設定することができます。

家庭のオーブンの多くはコンベクションという、熱風を循環させる仕組みです。

ヒーターは庫内上部にしかありません。熱風循環によって焼きムラは少ないが、オーブン底部にはヒーターが無いので下火調節ができません

なのでパン生地を載せた天板ごとオーブン庫内に入れることになるのですが、これだと生地は上と横からしか熱をもらえないんですよね。

パン屋さんではハード系を焼くとき、天板に生地を載せずオーブンの床板に直接置いて焼くので、下から直接熱をもらえます。

 

この時点で、パン屋のオーブンに比べて家庭のオーブンは生地の中心まで熱が伝わるのが遅いということがわかりますね。

そして、これがクープにどう影響するのかというと…

家庭のオーブンは下からの熱が無い分、ようやく中心部が膨らむよ!という時点ではすでに表皮がそれなりに焼き固められてしまう。その時クープも同様に焼き固められてしまっているともう開きません。

クープが焼き固められてしまうまでに、いかに生地中心まで熱を伝えて膨らませることができるか、が勝負どころというわけです。

これは、ピザやナンでも似たような原理が通じますので、よかったらこちらも読んでみてください!焼成の理解がグッと深まることをお約束します。

paopao-bakefirst.hateblo.jp

 また、天板を予熱すると疑似的に下火を短時間だけ再現することもできますが、天板そのものにはヒーターがついていないので、パン生地を載せた直後から天板は生地に熱を奪われて温度が下がります

この時、パン屋さんのデッキオーブンならすぐに下火ヒーターが自動でオンになり温度が一定に保たれるのですが、家庭のオーブンではそれが出来ません。

 

スチームの質が全く違う

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パン屋さんのオーブンと家庭のオーブンの質は全く別物です。

家庭のオーブンのスチームは水タンクから常温の水を熱い庫内に吸い上げて蒸発する仕組みですので、スチームというよりは庫内加湿に近いです。

一方パン屋さんのオーブンから出るスチームは、水道からの水をそのまま庫内に吸い上げず一旦ボイラーで高温にしておき、そこで出来たアツアツのスチームをそのまま庫内に噴出します。なのでスチームの質も量も圧倒的に多いのです。

スチームの質が良ければ、パンの表面はより焼き固められるまでの時間が稼げますし、庫内熱の伝わりも良くなります

(ミストサウナが大して温度高くないのに熱く感じるのと同じで、湿度が高い方が熱伝導が良いんです。)

家庭のオーブンではこの恩恵が得られないのです。

 

クープが開きやすくなるコツ【誰でも簡単!】

クープにオイルを垂らす

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初心者向けのレシピ本なんかによく紹介されている方法で、一番手っ取り早くて誰でも簡単にできます。

クープにオイルを垂らすことで、クープ表面の水分が保持されやすくなります。そうなると、表皮とクープの間には焼き固められるまでの時間差が生まれます

それにより、生地の中心まで熱が伝わって「これから生地が膨らむよ!」という時には圧力の逃げ場はクープ部分だけになり、結果としてクープがよく開くようになります。

 

「フランスパンには油脂を配合しないのが基本なんだから、オイルを垂らすなんて邪道だ!」

という意見はもちろんあると思いますし、私も一時期はその考え方にとりつかれていました。

でもそんなこと言ったら、パン屋さんでは番重にオイルスプレー吹きかけたりソフト系パンと共用のミキサーで作ってるので、少量の油は混入しているわけで…だったらクープにオイル垂らしても良いじゃん?って思いますし、

ご家庭のオーブンでおいしいフランスパンを作る目的でやるわけですから、やらずに美味しくない焼き上がりよりかは100倍マシだと私は思います。

なぜなら、クープが開かないことによるデメリットは見た目だけではないからです。

(もちろん、オリーブオイルを意図的に垂らしておきながら使用食材にオリーブオイルを記載しないのは大問題ですが。)

クープが開かないフランスパンのデメリット
  • 膨らみに欠ける
  • 食感が悪い
  • 消化に悪い
  • 甘味を感じにくい

特に火通りが悪くなることで生地のデンプンのα化度合いが減少し、消化に悪いパンになってしまうことは重大な影響と言えるでしょう。

 

ちょっと深めに切り込む

フランスパンのクープは、切込みの最深部は熱が伝わりづらいので、元々焼き固められるのが遅いという性質ではありますが、それでも家庭のオーブンでは足りません。

業務用オーブンなら浅く皮一枚削ぐように切り込みますが、家庭のオーブンでやるなら少し深めに切り込むことでクープは開きやすいです。

 

庫内に蒸気を充満させる

家庭のオーブンのほとんどは、焼き始めてからスチーム機能を使用しても十分な効果が得られません。

そこで、予熱の段階から庫内を蒸気でいっぱいにしておくことをおすすめします。

予熱モードではスチームが出せないものであれば、予熱終了のブザーが鳴ったら一旦そのまま何も入れずに本加熱をスタートさせて、そこでスチームを出しておきます。

ただし、扉を開けると熱い蒸気がもわっとあがりますので気を付けてください。

あるいは、庫内の床に石をたっぷり入れたトレーを置いて予熱し、焼成時にアツアツの石に水を注ぎこむことで一気に蒸気を作る方法もあります。

石はオーブンの予熱完了ブザーが鳴ってもアツアツになっていないので、事前に30~40分以上は予熱しておく必要があるので手間はかかりますが、その分の価値はあります。

 

高めの温度で予熱する

家庭のオーブンがパン屋さんのオーブンより劣るもう一つの理由が、扉を開けると庫内温度が下がりやすいことです。

そのため、210℃で焼きたいから210℃で予熱すると、いざ焼こうとして扉を開けると焼きはじめの温度は200℃あるいはもっと低いことになります。

パン屋さんのオーブンのように庫内が広くないこと、オーブン自体がそんなに熱を蓄えられないことが原因です。

なので、温度が下がることを見越して予め希望の温度よりも高く予熱をしておくことで、温度が下がった結果ちょうどいい希望温度になるという状況をつくりましょう。

 

天板を事前に予熱する

こちらでは天板をいくら予熱しようとパン屋さんのオーブンのようにはならないと説明しましたが、まったくやらないよりはやったほうが100倍マシです!

オーブン庫内を希望焼成温度よりも高めで予熱するときに、天板も一緒に予熱しておきましょう。

これも、天板に生地を載せた時に、生地が天板の熱を奪って温度が下がることを見越して、予め高めの温度にしておくという考え方です。

生地を焼くときは、天板を外に出さずに、庫内に入るサイズに切った丈夫なダンボールや木板にオーブンシートごと生地を載せて、それを庫内に入れて天板の上にシートごと生地を滑り込ませてください

イメージはテーブルクロス引きです♪

家庭のオーブンに付属している天板はフチが大きく面が平らではないので、裏返しで庫内に入れて使うとやりやすいですよ。

 

魔法の天板を使う

家庭のオーブンに付属している天板は、形状が扱いずらいのはもちろん、蓄熱性も熱伝導も良いとは言えません。

なので、どんなに多くの工夫をしても限界があるのは否めません。恐らく「もっといいパンが焼きたい!」と思ってしまう時がくるはずです。

私も当然その時が来てしまい、色々調べた結果「魔法の天板」に出会い、今ではかなり年季が入っていますがそれでも愛用し続けています。

簡単に言うと、家庭用オーブン付属の天板のデメリットである、形状・蓄熱性・熱伝導すべてをクリアしている家庭製パンの最終兵器です。

もし私がパン教室を開くなら、迷わず導入するでしょう。


 

土台を丈夫なステンレス天板か、熱伝導が良く軽いアルミ天板か選べるようになったみたいですね。

また、私が3年前に購入したときは上記の製品しかなかったのですが、今では後発で製菓製パン専門道具店の馬嶋屋菓子店道具店様からも同様の商品が出ているようですね。

ちょっと値段は高くなりますがスチーム取り入れ口があるためこちらの方がパンに十分なスチームを当てられそうな気がします。


 

 

 

見落としがちな基本【ちゃんとできてる?】

 

発酵は十分にとれているか?

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窯伸びしやすい生地が作れたかどうかが、クープが開くかどうかに関わってきます。そのために必要なことで忘れられがちなのが、発酵です。

どうしても、クープナイフの使い方やこね加減など、自分のテクニック的な部分に目が行ってしまいがちです。

しかし、焼成における窯伸びとはどういう原理なのかをしっかり理解できると、発酵がいかに重要かわかってくるはずです。

 

熱せられた生地は、生地中の水分が蒸発し気体となること、また発酵で発生した炭酸ガスが膨張することで膨らんできます。

当然、発酵が足りないということは焼成時に膨張できる炭酸ガスも元から少ないというわけですから、窯伸びも悪くなることがわかりますね。

さらに、特に2次発酵が足りていないと、成型で硬化した生地がまだ十分に緩んでいないことになります。

発酵で生成されるアルコールは生地を柔らかくする作用を持つのですが、これはいわば風船を膨らませる前に事前によく伸ばして柔らかくしておくことと同じです。これしないと、自力で膨らませるのは大変ですよね?

二次発酵が不足している状態で焼くことは、新品の風船を硬いまま無理して膨らませようとするのと同じなのです。

ただし、発酵をとりすぎてしまうと今度はクープが開くのに必要な表面のハリ「抗張力」まで緩んでしまうので、その塩梅が難しいところです。

発酵の見極めについてはこちらで詳しく説明していますので、しっかりマスターしておきましょう!

paopao-bakefirst.hateblo.jp

 

成型でしっかりハリをつけてるか?

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クープの入れ方ばかりに気を取られている人が見落としがちなのが成型です。

フランスパンの成型は、食パンのように生地を叩いてガスを抜きまくるような触り方をしてしまうと、コシがつきすぎてしまいます。なるべく余計なコシはつけたくないのですが、一方で生地表面のハリ(抗張力)はしっかりとつけなければなりません。ここがフランスパン成型の一番難しい部分と言えるでしょう。

初心者向けのレシピ本なんかだと、「手前から1/3、むこうから1/3を順に折って、半分に折って、半分に折る」という部分しか説明されておらず、折るときにしっかり親指をつかって生地表面を張り込むことまでは意識出来ていない人が多いのです。

なかなか文章では表現しづらい部分なので仕方ないところではありますが…

抗張力を身近に感じられるものとしては、輪ゴムをピンと張った状態で、真ん中をハサミで切ると輪ゴムは勢いよく縮みますよね、これがまさしく抗張力です。無理に引っ張って伸びてはいるけど、元に戻ろうとする力が働き続けているわけです。

パン生地も、表面を張り込むように成型することで、表面は伸びてピンと張るけれどちょっと無理した状態だから元に戻ろうとする力が働き続けて、切込みを入れると表面は縮むからその分クープが開くのです。

後日、動画を撮る機会があったらバゲット成型のコツを掲載しようと思います。

 

一本クープで見極めてみよう

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三本以上の切込みを入れるクープは、角度や重なり具合など慣れるまでは難しいため、まずは縦に一本のシンプルなクープでしっかり開くか挑戦してみましょう。

バランスなど特に考える必要はないため非常に難易度が下がります。

逆に、一本クープでちゃんと開かない場合、やはり基本がどこかおろそかになっている可能性が高いですので、見極めの手段としても一度やってみることをおすすめします。

 

2023/04/08

by BAKE FIRST(製パン科学研究家)